1. 横浜市全体の地価動向
住宅地の動向
令和7年の横浜市内住宅地の平均変動率は+3.2%となり、前年(+2.7%)から上昇幅が拡大しました。調査地点477地点のうち、上昇が472地点、横ばいが5地点、下落は0地点と、ほぼ全域で地価が上昇しています。平均価格は1㎡あたり257,000円となりました。これは、全国平均(+2.1%)や神奈川県全体(+3.4%)と比較しても高い水準です。横浜市の住宅地は、都心へのアクセスの良さや生活利便性の高さ、再開発や交通インフラの整備などが評価されており、ファミリー層や若年層を中心に需要が堅調です。
商業地の動向
商業地の平均変動率は+7.2%で、前年(+6.0%)からさらに上昇幅が拡大しました。調査地点161地点すべてで地価が上昇しており、平均価格は1㎡あたり825,900円に達しています。全国平均(+3.9%)、神奈川県全体(+6.6%)と比べても高い伸び率であり、横浜市の商業地が非常に活況であることがうかがえます。特に都心部や再開発エリア、大型商業施設周辺では需要が集中し、地価上昇を牽引しています。
工業地の動向
工業地の平均変動率は+6.2%と高水準を維持しています。横浜市は港湾都市としての機能も強く、物流拠点や工場立地の需要が根強いことが背景にあります。低金利環境や企業の設備投資意欲の高まりも、工業地の地価を下支えしています。
2. 区別・用途別の地価動向
主要区の住宅地
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西区・中区
西区の住宅地平均価格は392,700円/㎡(+5.9%)、中区は386,100円/㎡(+3.2%)と、市内でも高水準です。みなとみらい地区や山手町など人気エリアが多く、都心直結の利便性やブランド力が評価されています。 -
港北区・都筑区
港北区や都筑区は、再開発や交通インフラの充実により、住宅地の地価が安定的に上昇しています。特に都筑区は+3.4%と、県平均と同等の伸びを示しています。 -
鶴見区・神奈川区
鶴見区(299,200円/㎡、+3.8%)、神奈川区(322,300円/㎡、+5.1%)も上昇傾向が続いています。横浜駅や新横浜駅へのアクセスの良さが評価されています。
主要区の商業地
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中区・西区
中区の商業地は平均価格999,200円/㎡(+11.0%)、西区は903,200円/㎡(+9.6%)と、県内でも突出した水準です。みなとみらい地区や関内、横浜駅周辺の再開発が地価を強く押し上げています。 -
港北区・都筑区
港北区(564,400円/㎡、+5.7%)、都筑区も堅調な上昇を示し、ショッピングモールやオフィス開発が進んでいます。
3. 地価上昇の背景要因
再開発と都市インフラの整備
横浜市では、みなとみらい21地区、関内・関外地区、新横浜駅周辺などで大規模な再開発が進行中です。これにより、商業施設やオフィスビル、マンションの新規供給が活発化し、土地需要が高まっています。また、相鉄・東急新横浜線の開業や、駅前広場・道路の拡張など、交通インフラの整備も地価上昇の大きな要因です。
インバウンド需要と観光資源
コロナ禍からの回復に伴い、インバウンド(訪日外国人観光客)需要が急速に回復しています。横浜市は観光資源が豊富で、ホテルや商業施設の稼働率が上昇。これが商業地の地価を押し上げる要因となっています。
低金利と住宅需要
低金利環境が続いており、住宅ローンの借り入れがしやすい状況です。これにより、住宅購入需要が底堅く、住宅地の地価上昇を支えています。特にファミリー層や共働き世帯、都心アクセスを重視する若年層が横浜市の住宅地を選ぶ傾向が強まっています。
働き方の変化と住環境志向
コロナ禍以降、リモートワークの普及やワークライフバランス志向の高まりにより、都心直結かつ住環境の良いエリアへの需要が増加。横浜市は公園や緑地、教育環境が整っていることも評価されています。
6. 地区別の地価ランキングと特徴
2025年の地価公示によると、神奈川県内の住宅地で坪単価200万円を超えた地点は7か所、150万円超えは38か所にのぼります。横浜市中区山手町や西区みなとみらいなどが上位を占めており、ブランド力の高いエリアが依然として人気です。これらのエリアは、歴史的な街並みや高級住宅地としてのイメージ、都市景観の美しさが地価を支えています。
7. 今後の展望と課題
地価上昇の持続性
再開発やインバウンド需要、低金利といった追い風は今後も続く見通しですが、地価上昇の持続性には注意が必要です。人口減少や金利動向、経済情勢の変化による影響も考慮する必要があります。
地域間格差の拡大
横浜市内でも、都心部や人気エリアと郊外部で地価の伸びに差が出てきています。今後は、地域間格差の拡大や、空き家・老朽化住宅の増加への対応も課題となります。
持続可能な都市づくり
地価上昇に伴い、住宅取得の難易度が高まることや、地元住民の生活環境維持、緑地・公共空間の確保など、持続可能な都市づくりが求められます。
8. まとめ
令和7年度の地価公示を踏まえると、横浜市内の地価は住宅地・商業地・工業地ともに高い上昇率を示し、都市の活力と人気を裏付けています。今後も再開発やインバウンド需要、交通インフラ整備などを背景に、地価は堅調に推移する見通しですが、地域間格差や持続可能性への配慮も重要な課題となります。横浜市は引き続き、首都圏有数の魅力的な都市として発展を続けていくでしょう。
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