弊社では「隣人トラブルにより資産価値が減少した」と主張するための意見書を発行しております。内容は次のようなものです。(マンションを例にご紹介)
1.はじめに
マンションの居住環境において、隣人トラブルは最も深刻な問題の一つです。隣人トラブルには、上層階や隣戸からの生活音、ペットの鳴き声、足音、楽器の演奏など様々なケースがあります。また、騒音に対して過剰に反応する住民(以下「クレーマー」という)が存在する場合、トラブルはより複雑化し、居住者のストレスや物件価格の下落につながります。本意見書では、騒音トラブルがマンションの資産価値に与える影響について考察します。
2.隣人トラブルの現状と実態
マンションにおける隣人トラブルには、大きく分けて以下のような種類があります。
- 生活音:足音、ドアの開閉音、話し声、水の流れる音など
- ペットの鳴き声や足音
- 楽器の演奏やテレビ・オーディオの音漏れ
- 深夜や早朝の騒音
- クレーマーによる苦情(実際には大きな音が出ていなくても、過剰に苦情を言う住民がいる場合)
隣人トラブルとクレーマー問題は密接に関係しています。実際には大きな音が出ていなくても、特定の住民が些細な音に対して過剰に苦情を言うことで、他の住民が精神的に追い詰められ、結果として居住環境が悪化します。このような場合、隣人トラブル自体が直接的な原因ではなくても、クレーマーの存在によってトラブルが深刻化することがあります。
3.隣人トラブルがマンション価格に与える影響
まず、隣人トラブルが存在する物件は、買主にとって魅力的な物件とは言えません。特に、長期間住むことを前提とした場合、隣人トラブルがある物件を選ぶ理由はほとんどありません。そのため、売主は通常の市場価格よりも安く設定せざるを得ず、場合によっては大幅な値引きが必要となります。
実際、隣人トラブルを抱えた物件は「売りにくい」傾向が強く、値引きをしないと買い手がつかないケースが多いです。トラブルが深刻化している場合や、クレーマー問題が広く知られている場合には、大きな値下げが必要となることが求められます。
さらに、売却時の重要事項説明書には、上層階との隣人トラブルに関する内容を記載する必要があります。しかし、そのような内容を載せることは、売却に際して大きなマイナス要因となります。実際、対象不動産のような履歴がある場合、通常のエンドユーザーが購入者となることはほとんどなく、不動産会社が購入することが現実的となります。
4.告知義務と価格への影響
隣人トラブルは、不動産売買における「環境的瑕疵」に該当する可能性があります。売主は、これらのトラブルが存在することを買主に告知する義務があり、告知を怠ると損害賠償の対象となります。
そして、当然ながら、隣人トラブルを告知した場合、買主はそのリスクを考慮して購入を判断します。そのため、告知義務を果たすことで、物件価格は下落する傾向があります。
5.対象不動産の減価率について
マンションの居住環境において、隣人トラブルは深刻な問題です。隣人トラブルには、上層階や隣戸からの生活音、ペットの鳴き声、楽器やテレビの音漏れなど様々な形態があります。また、騒音に対して過剰に反応する住民(クレーマー)が存在すると、トラブルはさらに複雑化し、他の住民のストレスや物件価格の下落にもつながります。
隣人トラブルがある物件は、通常の買主にとって魅力が薄く、売却時には大幅な値下げが必要となります。特に、クレーマー問題が広く知られている場合や、トラブルが深刻な場合には、売主は早期売却を余儀なくされることも少なくありません。また、売却時の重要事項説明書には上層階との隣人トラブルの履歴を記載する必要がありますが、そのような履歴を載せることは売却に際して大きなマイナス要因となります。その場合、通常のエンドユーザーが購入者となることが少なく、結果として、不動産会社が安く購入することが現実的といえます。このように、隣人トラブルは物件価格に直結する重要なリスク要因であり、売主はトラブル解決や告知義務の徹底、不動産会社への売却など様々な対策が求められます。
以上から、当該クレーマーがいまだ居住し続けていることを考慮すると、対象不動産は環境的事故物件(人が亡くなったわけではないが、それと同様の経済的減価が生じている物件)と評価することができます。
通常、事故物件の減価率は50%以上となることもあり得ますが、近年では事故物件の認知がされており、昔ほど嫌厭されていない市場が形成されていると思料されます。また、本物件では実際に人が亡くなった訳ではないため、事故物件ほどの高い減価率を考慮することは不適切とも思料されます。
ほかには、民事再生法や会社更生法に基づく早期売却、相続税納付に伴う早期売却等の減価率が本減価率の考え方の参考材料となり得ます。
以上から、事故物件としての減価率、民事再生法や会社更生法に基づく早期売却、相続税納付に伴う早期売却、売主のトラブル解決に要する様々なコスト等を考慮としつつ、対象不動産に係る減価率は●%と判断いたしました。
まとめ
弊社では過去、所有者様(弁護士先生含む)からのご依頼でこのようなレポート発行したことがございます。ご相談はお気軽にお問い合わせください。
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