令和6年度 川崎市全域の地価公示結果 詳細解説
川崎市は東京都心と横浜市の中間に位置し、住宅地・商業地・工業地がバランスよく発展する神奈川県内でも特に地価動向が注目される都市です。令和6年(2024年)の地価公示では、全域で高い上昇率を示し、県内でも際立った地価上昇都市となりました。ここでは、川崎市全体の地価公示のポイントを、全体傾向、用途別、区別、主な標準地、上昇要因、今後の見通しなど多角的に解説します。
全体の地価公示平均と変動率
-
令和6年1月1日時点の川崎市全域の地価公示は住宅地で4.4%上昇、商業地で8.4%上昇、工業地で8.6%上昇と、いずれも前年より上昇幅が拡大しました。
-
住宅地・商業地・工業地ともに下落地点はゼロ。全地点で上昇または横ばいとなり、地価上昇の勢いが際立っています。
用途別平均価格・変動率(2024年 地価公示)
用途 | 平均価格(円/m²) | 前年比変動率 |
---|---|---|
住宅地 | 約301,000 | +4.4% |
商業地 | 約1,025,000 | +8.4% |
工業地 | 約185,000 | +8.6% |
-
商業地・工業地の上昇率が特に高く、神奈川県内でも最高水準の上昇率となりました。
区別の地価動向と上昇率
川崎市は7区(川崎区、幸区、中原区、高津区、宮前区、多摩区、麻生区)で構成されており、全区で地価上昇が観測されました。
区別の上昇率(住宅地・商業地)
区名 | 住宅地上昇率 | 商業地上昇率 | 工業地上昇率 | 特徴・コメント |
---|---|---|---|---|
川崎区 | +5.0% | +11.6% | +8.6% | 全用途で市内最高水準の上昇率。駅前再開発が牽引 |
幸区 | +5.0%以上 | +7.0%以上 | – | 武蔵小杉・新川崎エリアの人気 |
中原区 | +4.0%以上 | +7.0%以上 | – | 武蔵小杉駅周辺の再開発、住宅・商業ともに上昇 |
高津区 | +4.0%以上 | +7.0%以上 | – | 溝の口駅周辺の利便性向上 |
宮前区 | +3.0%以上 | – | – | 住宅地中心、堅調な上昇 |
多摩区 | +3.0%以上 | – | – | 登戸・向ヶ丘遊園など交通利便性で上昇 |
麻生区 | +3.0%以上 | – | – | 新百合ヶ丘駅周辺の住宅地需要 |
-
川崎区は全用途で市内トップの上昇率。住宅地・商業地・工業地ともに上昇率1位は川崎区が独占しています。
-
幸区・中原区・高津区も7%前後の高い上昇率。武蔵小杉、新川崎、溝の口など再開発や交通利便性の高いエリアが牽引しています。
主な標準地と価格動向
住宅地の上昇率上位
順位 | 所在地(地番) | 価格(円/m²) | 上昇率 | コメント |
---|---|---|---|---|
1 | 貝塚2丁目4番18(川崎区) | 455,000 | +8.3% | 駅近・再開発エリア |
2 | 小台2丁目23番10外(宮前区) | 460,000 | +8.2% | 住宅地の人気エリア |
3 | 北加瀬1丁目993番4(幸区) | 355,000 | +7.6% | 新川崎駅近、マンション需要 |
4 | 千代ヶ丘4丁目11番13(麻生区) | 240,000 | +7.1% | 新百合ヶ丘エリア |
5 | 下作延2丁目340番4外(高津区) | 468,000 | +6.6% | 溝の口駅周辺 |
商業地の上昇率上位
順位 | 所在地(地番) | 価格(円/m²) | 上昇率 | コメント |
---|---|---|---|---|
1 | 宮前町8番8(川崎区) | 800,000 | +15.9% | 川崎駅近、再開発・商業集積 |
2 | 砂子1丁目5番6(川崎区) | 785,000 | +15.8% | 駅前商業地 |
3 | 新川通4番22(川崎区) | 718,000 | +15.8% | 駅近・商業施設集積 |
4 | 新丸子東2丁目907番14(中原区) | 1,790,000 | +14.7% | 武蔵小杉駅前、再開発 |
5 | 東田町9番6外(川崎区) | 900,000 | +14.2% | 川崎駅東口、商業ビル集積 |
工業地の上昇率上位
順位 | 所在地(地番) | 価格(円/m²) | 上昇率 | コメント |
---|---|---|---|---|
1 | 東扇島17番3(川崎区) | 242,000 | +8.6% | 臨海部、物流・工業需要 |
2 | 小島町4番3号(川崎区) | – | +7.7% | 臨海工業地 |
3 | 大川町12番10号(川崎区) | – | +7.4% | 工業団地 |
地価上昇の背景要因
-
再開発・都市機能強化
川崎駅・武蔵小杉駅・溝の口駅などの駅前再開発が進み、オフィス・商業・住宅の複合開発が地価上昇を牽引しています。 -
交通利便性の高さ
JR・私鉄・地下鉄が複数乗り入れ、都心・横浜へのアクセスが良好。新幹線停車駅や空港アクセスの良さも評価されています。 -
人口増加・都心回帰
都内との価格差や利便性から、若年層やファミリー層の転入が続き、住宅需要が底堅い。 -
インバウンド・ビジネス需要の回復
コロナ禍明けで観光・ビジネス需要が回復し、ホテル・オフィス需要も増加。 -
物流・工業需要の拡大
臨海部の工業地は物流施設や工場の新設・拡張需要で地価が上昇。
住宅地・商業地・工業地の特徴
住宅地
-
住宅地の平均地価は約30万円/m²台。駅近や再開発エリアは40万円台後半~50万円台も。
-
全区で上昇し、特に川崎区・幸区・中原区・高津区で上昇率が高い。
-
ファミリー層・単身者の転入が多く、マンション・戸建てともに需要が堅調。
商業地
-
平均地価は約100万円/m²超。川崎駅・武蔵小杉駅・溝の口駅周辺は200万円/m²超も。
-
上昇率は8~15%台と高く、再開発・商業施設集積が要因。
工業地
-
平均地価は約18万円/m²台。臨海部の物流・工場集積エリアが中心。
-
上昇率は8%台で、県内でも高水準。物流施設需要が強い。
今後の見通しと課題
-
今後も上昇傾向が継続か
再開発や人口増加、交通利便性の高さから、短中期的には地価上昇が続く見通しです。 -
住宅地の動向
都心との価格差や生活利便性から転入需要が続き、安定した推移が予想されます。 -
商業地・工業地の動向
再開発や物流施設需要、インバウンド回復などで引き続き高い上昇率が期待されます。 -
懸念点
地価上昇による賃料・物価の高騰、生活コスト増、空き家・空き店舗問題、収益性と市場価格の乖離など、都市特有の課題も注視が必要です。
まとめ
令和6年度の川崎市全域の地価公示は、住宅地・商業地・工業地すべてで高い上昇率を記録し、神奈川県内でも最も上昇した都市となりました。再開発や交通利便性、人口増加、物流・ビジネス需要の拡大が地価上昇の主因です。今後もこの傾向は続く見通しですが、都市部ならではの課題にも注意が必要です。詳細な地点別データや推移は、川崎市や国土交通省の公式資料で確認できます。
不動産の売買や相続、賃料改定、底地・借地権の評価など、具体的な不動産鑑定が必要な場合には、合同会社丸山不動産事務所までご依頼ください。専門家が【低価格・高品質・迅速かつ丁寧な対応】でご相談を承ります。
コメントを残す