借地権を購入する際には、所有権の土地とは異なる特有のリスクや制約があるため、事前に以下のポイントをしっかり確認・検討することが重要です。
借地権購入時の主な注意点
1. 地代・ランニングコストの発生
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借地権では毎月または年単位で地主に地代を支払う必要があります。
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地代の相場は、固定資産税・都市計画税の3~4倍程度が目安とされることが多いです。
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住宅ローンの返済と地代の両方が必要になる場合もあるため、長期的な総コストをシミュレーションしておくことが大切です。
2. 契約内容・借地権の種類の確認
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借地権には「普通借地権」「定期借地権」など種類があり、契約期間や更新の有無、契約終了後の扱いが異なります。
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契約書では借地権の種類、期間、更新条件、地代・更新料・承諾料の金額や改定条件、禁止事項、契約違反時の取り扱いなどを細かく確認しましょう。
3. 地主の承諾が必要な事項が多い
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建物の建て替えや大規模リフォーム、借地権の譲渡・売却、抵当権設定などは地主の承諾が必要です。
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承諾時には「承諾料」や「増改築承諾料」などの費用が発生することがあります。
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無断での増改築や譲渡は契約違反となるため、必ず事前に地主と協議し、承諾を得る必要があります。
4. 契約更新料・解体費用等の負担
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契約更新時には更新料が発生する場合が多く、金額は更地価格×借地権割合×3~5%が目安です。
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定期借地権の場合は契約終了時に建物を解体し、更地で返還する義務があり、解体費用も借地人負担となります。
5. 融資(ローン)が受けにくい場合がある
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借地権付き建物は担保価値が低いため、金融機関からの融資が受けづらいことがあります。
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特に土地所有権がない場合は、借入条件が厳しくなったり、融資が受けられない場合もあるので、事前に金融機関に確認しましょう。
6. 土地利用の自由度が低い
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所有権の土地と比べて、土地利用の自由度が制限されます。
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例えば、建物の用途変更や転貸なども制限される場合があります。
7. 契約書・境界・名義の確認
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契約当事者(地主)の確認、土地の正確な範囲や面積、境界の明示は必須です。
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境界が曖昧な場合は、測量図や境界確認書を取り交わすことが望ましいです。
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地主が複数の場合、誰に地代を支払うか、窓口は誰かなども事前に確認しましょう。
8. 将来の売却・相続時の制約
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借地権の売却や相続には地主の承諾や調整が必要で、承諾料が発生することがあります。
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売却時の流動性や評価額も、所有権土地と比べて低くなる傾向があります。
9. 地主との関係性
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借地権は地主との信頼関係が重要です。良好な関係を築くことがトラブル防止のカギとなります。
10. 信頼できる専門家への相談
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契約内容や権利関係、将来のリスクなどについては、不動産鑑定士・弁護士・司法書士など専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
借地権購入は初期費用が抑えられる一方、地代・更新料・承諾料などのコストや、利用・売却・建替え等の制約、地主との関係性、融資の可否など多くの注意点があります。契約内容を細かく確認し、将来的なコストやリスクも含めて十分に検討し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。
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