1.相模原市全体の地価動向
2025年(令和7年)1月1日時点の地価公示によると、相模原市の平均地価は212,351円/㎡(坪単価702,000円)で、対前年変動率は+4.8%と、4年連続で上昇傾向が続いています。この上昇率は全国平均や県平均を上回り、首都圏内でも堅調な推移を示しています。過去10年間の年平均成長率は+2.53%と安定しており、投資対象としても注目されています。
1-1. 住宅地の動向
住宅地の平均変動率は+4.3%で、前年(+4.0%)から上昇幅が拡大しました。区別では、緑区が+3.3%(平均価格152,800円/㎡)、中央区が+5.5%(同183,000円/㎡)、南区が+5.9%(同183,000円/㎡)といずれも上昇しています。特に中央区鹿沼台2丁目や高根2丁目、南区上鶴間7丁目などで8%を超える高い上昇率が記録されています。また、相模大野や橋本など、駅近で利便性の高いエリアが地価上昇を牽引しています。
1-2. 商業地の動向
商業地の平均変動率は+6.6%で、前年(+5.7%)から上昇幅が拡大しました。橋本駅周辺や相模大野駅周辺では、リニア中央新幹線事業や再開発の進展への期待感から、地価上昇が顕著です。特に南区相模大野3丁目、緑区橋本4丁目・6丁目などで5~10%台の上昇率が見られ、商業集積やマンション需要の高まりが地価を押し上げています。
1-3. 工業地の動向
工業地の平均変動率は+4.5%で、前年(+3.6%)より上昇幅が拡大しています。高速道路網の整備や物流拠点の需要増加が背景となり、主要道路沿いの工業地で地価上昇が続いています。
2.区別・用途別の地価動向
2-1. 主要区の住宅地
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緑区
駅周辺や交通利便性の高い地域で上昇傾向が強く、橋本駅周辺ではリニア中央新幹線効果もあり、地価上昇が顕著です。 -
中央区
鹿沼台や高根などで8%を超える上昇率を記録し、駅近や再開発エリアに需要が集中しています。 -
南区
相模大野や上鶴間などで高い上昇率が見られ、マンション需要や生活利便性の高さが評価されています。
2-2. 主要区の商業地
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緑区
橋本駅周辺の商業地はリニア中央新幹線開業への期待感から、10%を超える上昇率を記録する地点もあります。 -
中央区
駅周辺の再開発や商業集積が進み、上昇率の高い地点が目立ちます。 -
南区
相模大野駅周辺の商業地も上昇が続き、商業施設やマンション開発が地価を押し上げています。
2-3. 工業地
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高速道路や主要幹線道路沿いの工業地で需要が高く、地価上昇が目立ちます。
3.地価上昇の背景要因
3-1. 再開発とインフラ整備
橋本駅や相模大野駅周辺では、リニア中央新幹線事業や駅前再開発が進行中で、商業集積や住宅需要の高まりが地価を押し上げています。また、相模原駅北口の米軍基地返還地の活用も今後の地価動向に影響を与える見通しです。
3-2. 交通利便性
都心へのアクセスの良さや、鉄道・高速道路の整備が住宅・商業地の人気を支えています。
3-3. 住宅・商業需要
マンションや商業施設への需要が旺盛で、特に駅近や再開発エリアで地価上昇が顕著です。
3-4. 投資対象としての注目
安定した上昇トレンドと首都圏内の立地から、投資家や事業者の注目が集まっています。
4.地区別の地価ランキングと特徴
2025年の地価公示によると、最高価格地点は南区相模大野3丁目(1,230,000円/㎡、+15.0%)で、上昇率でも中央区鹿沼台2丁目(+8.5%)、中央区高根2丁目(+8.1%)、南区上鶴間7丁目(+8.0%)などが上位に位置します。緑区橋本駅周辺や中央区・南区の駅近エリアが地価上昇を牽引しています。
5.今後の展望と課題
5-1. 地価上昇の持続性
リニア中央新幹線や再開発、交通インフラの整備などの追い風は今後も続く見通しですが、人口動態や経済情勢の変化には注意が必要です。
5-2. 地域間格差への対応
市内でも駅周辺と郊外・中山間地域で地価の伸びに差があり、地域間格差の拡大や空き家対策が課題となります。
5-3. 持続可能な都市づくり
地価上昇による住宅取得難や生活環境の維持、公共空間の確保など、持続可能な都市づくりが求められます。
6.まとめ
令和7年度の地価公示を踏まえると、相模原市内の地価は住宅地・商業地・工業地いずれも高い上昇率を示し、都市の活力と発展性を裏付けています。リニア中央新幹線や再開発、交通利便性の高さなどを背景に、今後も地価は堅調に推移する見通しですが、地域間格差や持続可能性への配慮も重要な課題です。相模原市は引き続き、首都圏西部の成長都市として発展を続けていくでしょう。
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