ビルオーナーの実態調査 2019 (ザイマックス総研)

ザイマックス不動産総合研究所(以下、ザイマックス総研)は早稲田大学建築学科小松幸夫研究室と共同で、2015 年から全国の中小規模ビルを保有し賃貸ビル事業を行うビルオーナーを対象にアンケート調査を行っている。
第 4 回目となる今回は、現在の賃貸ビル事業の経営実態、今後の見通しやビルを取り巻く環境変化への対応などについて、アンケートおよびヒアリングにより調査した。本レポートはその結果をとりまとめたものである。

1. ビルオーナーの属性

 経営者の年齢は 60 %以上が 60 歳以上であった。

 ビルの保有棟数は約 60 %が 1~2 棟で、主要なビルの築年数は、約 80 %が築 20 年以上であった。

2. 賃貸ビル事業の業況について

 保有棟数の変化については、「1 年間前から現在」「今後 1 年間」で「増加した(増加予定)」が それぞれ約 1 割で、合計保有棟数が多い事業者ほど増加の割合が高かった。

 賃貸ビル事業全体の業況については、「良い(よくなる)」と答えた事業者が「1 年前から現在」 が 49 %で、「今後 1 年間」では 26 %と減少した。

 収入および収入に関わる項目においては、「ほとんど変化なし」が 65%以上と過半数を占めた。 支出(経費)および支出に関わる項目においては、すべてにおいて今後増加する傾向にあり、特に修繕費は半数以上の事業者が増加すると答えた。

3. 今後の賃貸ビル事業について

 3 年程度先の短期的な見通しは楽観派が 34 %で、悲観派の 20 %を上回った。一方、5~10 年先の中長期的な見通しは、悲観派が 41 %と増加し、楽観派の 15 %を上回った。

 今後の社会情勢の変化への関心は、「人口減少・就業者の減少」「震災対策の必要性の高まり」「働き方の変化」の順で高く、特に「震災対策の必要性の高まり」は前回調査の割合を大きく上回 った。

 ビルの価値向上のための施策については、「設備の省エネ化」「エントランス等の共用部分の内装リニューアル」「維持管理の質向上」の順で実施率が高かった。中長期的な見通しを楽観視しているビルオーナーは、「維持管理の質向上」「災害時のテナントの水や食料の備蓄」などのソフト面の実施率が悲観派と比較して高かった。

4. 今後のビル事業について思うこと

 

ビルオーナーの実態調査 2019

~全国の中小規模ビルオーナーを取り巻く環境変化と業況~

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