【不動産鑑定士】 42/森友学園案件の鑑定評価書等に関する調査報告書を解説

時間がない方へ(書き起こし内容)

今日の動画は、先日大阪府不動産鑑定士協会から発表された森友学園に関する鑑定評価の外部委員による調査報告書が発表されましたので、その内容についてお話します。

調査報告書は概要欄に貼りますので、興味があったらご覧ください。今回は概要だけ掻い摘んでお話します。

まず、今回調査の対象となっている鑑定評価書は4通あります。

1.A鑑定士が発行した地代の鑑定評価書

2.A鑑定士が発行した地代の調査報告書(簡易評価書とお考え下さい)

3.B鑑定士が発行した価格の鑑定評価書

4.CD鑑定士が発行した価格の鑑定評価書

外部委員の調査報告書では、1.以外の2.3.4.について指摘が入っている状況でした。そのなかでも一番問題として大きいものは3.B鑑定士が発行した価格の鑑定評価書となっています。

これの何が問題なのかというと、鑑定評価額は965,000千円ですが、この評価には「ある条件」が設定されています。

そして仮にその条件が実現されない場合の意見価額が付記事項に記載されていますが、その価格が134,000千円となっていて、その意見価額によって森友学園と近畿財務局が売買契約を締結したことに問題がある、という内容になっています。

ではこの「ある条件」とは何かと言う話ですが、この条件は「地下埋設物の有無」に関する条件です。つまりB鑑定士の鑑定評価書では「地下埋設物の有無」に関する状態は鑑定評価上考慮しないというものになっています。
※ただし前提として対象地にはコンクリートガラや瓦礫といった地下埋設物が存在していました。

ここでB鑑定士が現状では存在する地下埋設物を評価上考慮しないとした理由ですが、近畿財務局から提出された撤去費用が信用できない資料と判断したからです。つまり、撤去に関する見積額が異常に高く、信憑性に欠ける資料として判断したので採用しなかった、ということがありました。
※この部分は調査報告書の中に明確に書かれていませんが、内容を読む限りそのように解釈できましたので、一部私の解釈も混じっております。

このような背景があり、B鑑定士は「地下埋設物の有無」を評価上考慮しない、とされました。

そして恐らくですが、近畿財務局がB鑑定士に対して「地下埋設物撤去前(現状として)の価格を付記価格として評価書内に記載して貰えませんか」と要請した可能性があります。
※ここについても調査報告書には記載がありませんでしたが、内容を読む限りそのような解釈が出来ました。

実際の評価では意見価格の付記という行為は、評価上何ら問題ありません。ただし、これには「必要があると認められる場合」という要件が設定されますが、この「必要があると認められる場合」の定義はないので、この場合はそれぞれの鑑定士の解釈となります。

今回の調査報告書の中にも「撤去費用が信憑性に欠けるものであれば、付記価格に明記したときにも「撤去費用は信憑性が欠ける金額であった」という旨を明示すべきであった」という指摘がある一方で、「今回の意見価額は「「利用」された」と書かれており「利用」の箇所に「」が入っているように近畿財務局を非難しているように受け取れましたし、「悪意のある依頼者が評価書の都合の良い部分だけを利用しようとしたことに対して鑑定士があまりにも無防備であった」といった記載もされています。

勿論、鑑定士としての社会的意義や責務はあるので、これらについては認識すべきといった指摘はありますが、報告書を読んだ感想としては、今回は全て鑑定士が悪いということではなく、悪意を持った依頼者もいるから、都合よく鑑定評価書が利用される場合があることを認識しつつ評価をしましょう。といった内容に感じ取れました。

そして近畿財務局が鑑定士に対して圧力をかけたり、逆に鑑定士が依頼者を忖度して依頼者の意向に沿うような評価書を作ったのか、と言う点については確認できなかったようです。

報告書の最後には「社会からも合理的であるとの評価を受けなければならない」と記載されていますが、私自身今回の件を踏まえると、鑑定評価は社会に与える影響が大きく、その社会的意義や不動産鑑定士の責務というものの大切さを改めて自覚した次第です。

以上が今回の動画になります。ありがとうございました。


⬇︎⬇︎これに関連した予想問題⬇︎⬇︎

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