川崎市の地価推移は堅調、令和7年度の地価公示を解説【川崎市全域】

1. 川崎市全体の地価動向

2025年(令和7年)1月1日時点の地価公示によると、川崎市の全用途平均変動率は+4.4%(前年3.2%)と上昇幅が拡大しました。東京都心との価格差や人口増加、交通利便性の高さを背景に、住宅地・商業地・工業地いずれも堅調な需要が続いています。

住宅地の動向

住宅地の平均変動率は+4.2%で、前年(+3.1%)より上昇幅が拡大しました。川崎市内の住宅地は、都心へのアクセスの良さや再開発の進展、子育て・生活利便性の高さが評価され、特に駅近や再開発エリアを中心に需要が高まっています。中原区(454,300円/㎡、+4.87%)、幸区(355,800円/㎡、+4.59%)、高津区(336,200円/㎡、+3.29%)などが市内でも高い地価水準と上昇率を示しています。

商業地の動向

商業地の平均変動率は+7.2%と、前年(+5.8%)から大きく上昇しました。川崎駅周辺や武蔵小杉駅周辺など、再開発や大型商業施設の集積エリアで特に上昇が顕著です。川崎区日進町(603,000円/㎡、+16.0%)、新川通(773,000円/㎡、+15.9%)、幸区大宮町(1,930,000円/㎡、+13.5%)など、主要商業地で2桁の上昇率を記録しています。インバウンド需要やオフィス・ホテル開発の活発化も地価を押し上げています。

工業地の動向

工業地の平均変動率は+7.0%で、前年(+6.2%)より上昇幅が拡大しました。川崎市は臨海部を中心に大規模な工業地帯が広がり、物流拠点や工場用地の需要が堅調です。塩浜(161,000円/㎡、+9.5%)、大川町(142,000円/㎡、+9.2%)、小島町(229,000円/㎡、+9.0%)など、臨海部の工業地で高い上昇率が見られます。

3. 区別・用途別の地価動向

主要区の住宅地

  • 中原区
    武蔵小杉エリアを中心に高層マンションの供給が続き、住宅地の平均地価は454,300円/㎡で県内トップ、上昇率も+4.87%と高水準です。都心直結の利便性や再開発による街の魅力向上が評価されています。

  • 幸区
    川崎駅西口の再開発や新築マンションの供給が続き、住宅地の平均地価は355,800円/㎡、上昇率は+4.59%です。

  • 川崎区
    駅周辺の再開発や交通利便性の高さから、住宅地の平均地価は315,400円/㎡、上昇率+4.68%です。

  • 高津区・宮前区・多摩区・麻生区
    いずれも交通利便性や住環境の良さが評価され、地価は安定した上昇傾向です。高津区(336,200円/㎡、+3.29%)、宮前区(276,300円/㎡、+4.54%)、多摩区(262,800円/㎡、+5.08%)、麻生区(226,900円/㎡、+5.73%)。

主要区の商業地

  • 川崎区・幸区
    川崎駅周辺やラゾーナ川崎などの大型商業施設集積エリアで、商業地の地価上昇が顕著です。日進町・新川通・榎町・宮本町・大宮町などで2桁の上昇率を記録しています。

  • 中原区
    武蔵小杉駅周辺の再開発や商業施設の拡充で、商業地の地価も堅調に上昇しています。

工業地

  • 臨海部(川崎区)
    塩浜・大川町・小島町・東扇島など、物流・工場用地の需要が根強く、地価は高い上昇率を維持しています。

4. 地価上昇の背景要因

再開発と都市インフラの整備

川崎駅・武蔵小杉駅周辺などで大規模な再開発が進行中です。高層マンションやオフィス、商業施設の新規供給が活発化し、土地需要が高まっています。京急川崎駅周辺地区のまちづくりも今後の地価上昇要因とみられます。

交通利便性

JR・私鉄各線の駅近立地や、都心直結のアクセスの良さが住宅・商業地の人気を支えています。特に武蔵小杉や川崎駅周辺は、東京都心部との価格差や住環境の魅力から転入者が増加しています。

インバウンド・商業需要

コロナ禍からの回復により、ホテル・商業施設の稼働率が上昇。インバウンド需要やオフィス誘致も商業地の地価を押し上げています。

低金利と人口増加

低金利環境の継続と人口増加が住宅取得需要を下支えし、住宅地の地価上昇を後押ししています。

5. 地区別の地価ランキングと特徴

2025年の地価公示によると、川崎市中原区は県内市区町村別で地価ランキング1位(454,300円/㎡、+4.87%)となりました。幸区(355,800円/㎡、+4.59%)、川崎区(315,400円/㎡、+4.68%)も上位に位置し、武蔵小杉・川崎駅周辺のブランド力や再開発効果が際立っています。

商業地では、幸区大宮町(1,930,000円/㎡、+13.5%)など、川崎駅周辺の高額地点が目立ちます。

6. 今後の展望と課題

地価上昇の持続性

再開発やインバウンド需要、低金利環境などの追い風は今後も続く見通しですが、人口動態や金利動向、経済情勢の変化には注意が必要です。

地域間格差への対応

川崎市内でも、駅近や再開発エリアと郊外で地価の伸びに差が生じています。今後は地域間格差の拡大や、老朽住宅・空き家対策なども課題となります。

持続可能な都市づくり

地価上昇に伴う住宅取得難や生活環境の維持、緑地・公共空間の確保など、持続可能な都市づくりへの取り組みが求められます。

7. まとめ

令和7年度の地価公示を踏まえると、川崎市内の地価は住宅地・商業地・工業地いずれも高い上昇率を示し、都市の活力と人気を裏付けています。再開発や交通利便性、インバウンド需要などを背景に、今後も地価は堅調に推移する見通しですが、地域間格差や持続可能性への配慮も重要な課題です。川崎市は引き続き、首都圏有数の成長都市として発展を続けていくでしょう。

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